01西宮蛭子山にしのみやえびすやま白玉町
恵比寿が釣り竿で鯛を釣り上げる、福を招くめでたいからくり。万治元年(1658)の創建と伝わり、古くは「宇治橋姫山」と称して西宮の蛭子神を祀っていましたが、のちに現在の姿となりました。商売繁盛・福徳を願う山として親しまれています。
02源氏山げんじやま中京町
紫式部が石山寺にこもり、琵琶湖に映る月を眺めて『源氏物語』の構想を練った——という石山寺ゆかりの伝承を題材にした山。王朝文学の雅な情景を人形と豪華な装飾で表し、近江・石山寺と物語文学の結びつきを今に伝えます。
03龍門滝山りゅうもんたきやま太間町
黄河上流の龍門は流れの激しい難所で、これを登りきった魚だけが龍になれるという中国の故事「登龍門」に由来。鯉が滝を勢いよく登り、龍へと化す姿をからくりで見せることから「鯉山」とも呼ばれます。享保2年(1717)創建で、鯉のからくりは宝暦12年(1762)在銘、日本最古のものとされます。
04石橋山しゃっきょうざん湊町
能「石橋(しゃっきょう)」を題材とし、霊山・清涼山にかかる石橋のたもとで、文殊菩薩の使いである唐獅子が咲き乱れる牡丹の花と戯れ舞う姿を表します。宝永2年(1705)の創建。獅子の勇壮で華麗な動きが見どころです。
05西王母山せいおうぼざん丸屋町
中国の女仙・西王母が、三千年に一度実る不老長寿の桃を携えて舞い降りる伝説を題材にした山。からくりでは桃が二つに割れ、中から童子が現れます。明暦2年(1656)頃の創建と伝わり、「桃山(ももやま)」とも呼ばれます。
06殺生石山せっしょうせきざん柳町
能「殺生石」に取材。鳥羽上皇に寵愛された美女・玉藻前の正体は九尾の狐で、討たれて那須野の「殺生石」となり、のちに玄翁和尚に成仏させられたという物語です。からくりでは石が割れて玉藻前の顔が現れ、九尾の狐へと変化します。
07猩々山しょうじょうやま南保町
能「猩々」を題材とし、海中にすむ酒好きの霊獣・猩々が、親孝行な酒売りの前に現れて舞い、汲めども尽きぬ酒壺を授ける物語を表します。大盃を傾けるにつれ顔が赤く染まっていくからくりが見どころです。
08神功皇后山じんぐうこうごうやま猟師町
三韓へ出征した神功皇后が、そのさなかに応神天皇を無事に出産したという故事にちなむ山で、古くから「安産の山」として信仰を集めてきました。からくりでは、皇后が弓の先で岩の面をなぞると、書かれた文字が一字ずつ浮かび上がります。
09湯立山ゆたてやま玉屋町
天孫神社で行われる神事「湯立(ゆたて)」を再現した山で、山そのものが社殿を模して造られています。湯立は釜で沸かした湯を笹の葉で振りまき、無病息災を祈る神事。祢宜が祓いを行い、巫女が神楽を奏でて釜の湯を捧げる、神事色の濃い趣向が特徴です。
10孔明祈水山こうめいきすいざん中堀町
三国志で知られる蜀の名軍師・諸葛孔明が、曹操との戦いのさなか、水に窮した軍勢のために水神へ祈ると、涸れた泉から水が湧き出したという故事に由来します。からくりでは孔明が扇を開くと同時に泉から水が湧き上がり、勢いよく流れ落ちます。
11月宮殿山げっきゅうでんざん上京町
能「鶴亀」を題材とする山。この曲は「月宮殿」の別名を持ち、山名の由来となっています。唐の玄宗皇帝が新春の節会(せちえ)を開くと、鶴と亀の冠をつけた舞人が現れ、皇帝の長寿を祝って舞い納めます。扇を広げてゆるやかに舞う所作が見どころです。
12郭巨山かっきょやま後在家町・下小唐崎町
中国の教訓説話「二十四孝」の一人・郭巨の物語に由来。貧しい郭巨が母への食を案じて我が子を埋めようと地を掘ると、「天、郭巨に賜う」と記された黄金の釜が現れたという孝行譚を、からくりで表します。この場面から「釜堀山(かまほりやま)」とも呼ばれます。